海外では「JAPAN」とも呼ばれ人気のある「漆」。
ですが、日本では取り扱いにくいのでは? 高価格で普段使いに向かないのでは? と感じている方も多いようです。
漆の歴史は深く、戦前は「漆器」といえば伝統的な漆塗り木製のものでしたが、戦後になると合成樹脂や合成塗料が開発され量産が可能になったり安い価格で手に入るものも作られてきました。何が良いというよりも現代のライフスタイルに合わせたモノ選びをすることが大切だと思います。
様々なモノが開発され、海外からも良いモノが入ってくる中で、漆職人や作り手は、その時代のニーズに合わせたモノを生み出そうと日々試行錯誤を繰り返しています。漆といえば欅や桜、栃、センノキなどの木に漆を塗った漆器が一般的です。しかし木以外にも硝子や革、ステンレスなど、異素材との出会いにより新たな使い方や魅力が加わった商品が生まれているのです。
【長野県ー木曽漆器】
器の外側に漆が塗られた硝子のテーブルウェア
高岡の伝統工芸、漆と螺鈿のテーブルウエア
【埼玉県川口市】
錫の表面に漆を重ね塗りしたカップ
【長野県ー木曽漆器】
最古の天然塗料漆を塗り重ねた 国産高品質ステンレスカトラリー
【香川県】
洗練の木工技術と、優れた漆の塗布技術が実現する美しいお箸
木地加工技術の伝統による個性的な美しい木目
【山梨県】
鹿革に漆で模様をつけた革の伝統工芸品
漆はその特性を活かしさまざまな所で私たちの生活で使われています。改めて漆とは何か簡単にご紹介します。
漆木は、枝が折れたり動物に傷つけられたときに傷を守ろうとして乳白色の液を出します。その樹液は強い接着力と艶やかな光沢をもっており、「うるわし(麗し)」「うるむ(潤む)」がうるしの語源と言われています。
漆掻き職人がこの漆液を5日毎に山へ通い、集めます。1本の漆木からひと夏かかってわずか200g程度しか採取されません。「漆の7滴は血の1滴」と言われる所以です。
この樹液をろ過し透明な精製漆(透き漆)として使用したり、鉄粉や朱等の顔料を混ぜて使用します。
精製作業において鉄粉を混ぜ、酸化作用により黒くしたものが「黒漆」、透き漆に朱や緑などの顔料を加えたものが「色漆」です。
【漆の取り扱い方・お手入れ方法】
水につけたまま、また水分あるものを入れたまま長時間放置することは避ける。
使用後は中性洗剤を使いやわらかいスポンジで洗い、やわらかい布で水気を拭き取る。
乾燥によりヒビが入ってしまうことがあるため冷蔵庫での長時間の保管は避ける。
また漆器は紫外線に弱いため直射日光の当らない食器棚等に収納する。
急な温度変化により漆の塗りが白く変色してしまうことがある。
よって、熱いものを入れる際には漆器を一度ぬるま湯に通してから入れると急激な温度変化を避けられる。(漆ガラス等熱湯を注げない商品もあります)
その他、直火、電子レンジ、オーブン、食器洗浄機・乾燥機の使用は避けてください。